MAGAZINE

【イベントレポート】「開業届」で意識と行動はどう変わる?-大学生向け 超実践型起業体験プログラム 起業から始まる2ヶ月間 [第1回]

起業を支援する「Startup Hub Tokyo」では、起業を目指す方に向けたさまざまなプログラムを定期的に実施しています。

2017年8月2日には、主に大学生を対象とした「超実践型起業体験プログラム 起業から始まる2ヶ月間」の第1回が開催されました。

「大学生向け 超実践型起業体験プログラム 起業から始まる2ヶ月間」は、8月から9月の約2カ月間にわたって展開されます。期間中、3回の講義が行われますが、受講生と講師は「GoogleClassroom」を通じて常に情報を共有し、この2カ月間に起こる「行動」や「意識」の変化を体験していきます。

とにかく「起業してしまう」ことで最初の壁を越える

講師を務める佐々木大也氏は、自らも個人事業主から起業した経験を持ち、現在は教育領域の起業家に向けた投資や学生向けの起業家教育を手がける「Vilingベンチャーパートナーズ」の取締役としても活躍されています。

佐々木氏は冒頭、今回のプログラムでは「起業」を「自由に仕事を選択、創造していけるようになること」と広く定義し、2カ月間をかけて受講者の中に起業家として活動するための「適正パターン」を作っていくことを目指したいと話しました。

「適正パターンというのは、心理学の行動療法などでも使われる言葉です。自分が『こうしたい』と思っているのに『できない』とき、『できない』(不適正な)状態を引き起こしている自分の中の習慣や考え方を『できる』(適正な)ものへと変化させていくことを『適正パターンをつくる』と表現します」(佐々木氏)

今回のプログラムに参加する受講生はいずれも「将来は起業したい」という強い希望を持つ人ばかりです。中には、既にアイデアを形にしていたり、マネタイズにまで至っていたりする人もいますが、大半は「起業したいけれど、まだ起業には至っていない」メンバーです。

佐々木氏は「いずれ起業するのであれば、まずはさっさと開業届を書いてしまい、起業家としての生活を始めてしまいましょう」と促しました。

「経理作業」から身につける起業家の行動パターン

受講生に手渡されたのは、個人事業主が所轄の税務署に提出する「開業届」と、所得税の「青色申告承認申請書」の2枚の書類です。

「今日の講義の目的は、その書類を完成させることです。できれば、すぐにでも税務署に提出し、個人事業主として開業してしまってください。これから1カ月間は、その状態で過ごしてみましょう」(佐々木氏)

佐々木氏がポイントとして指摘したのは、開業に伴って必要になる「確定申告」や「納税」に向けた日々の作業を通じて、「起業家の行動パターンや思考、感覚」を身につけていくことの重要性です。

確定申告のためには、事業にかかわる「請求書」や「領収書(レシート)」といった書類を、決められた期間、きちんと保管しておかなければなりません。また、売上や経費が「どこからどこに対して支払われたお金か」を、発生ごとに把握し、記録しておく必要があります。

一般に「経理」と呼ばれるこうした作業は「面倒でつまらない」と思われがちですが、起業したら必ず行わなければなりません。まずはこれらを行う習慣を身につけておくことが、法人化し、経営を行う際にも役立ちます。また、近年では、無料で利用できる会計クラウドサービスも複数あります。これらを活用すれば、毎年3月が締切となる確定申告は、とても簡単に行うことができます。佐々木氏は、こうした経理作業を、少なくとも「これから2カ月の間は、必ず続けてほしい」と話しました。

「使ったお金を経費にするために、最初のうちは、1件ごとに『この出費は事業に関係しているものだろうか?』と吟味するでしょう。そして、ある程度件数が増えてくれば『起業家になるための活動ばかりで、起業家としての活動が全然ない!』などのことが分かってしまい、焦るかもしれません。このように、経理作業を通じて、使ったお金、得たお金の流れを把握することは、実は『常に自分の行動の生産性を考える』という起業家にとって重要なマインドの形成に有効なのです」(佐々木氏)

講義では、手続きや税制における「個人事業主」と「法人」の違いに加え、領収書の保管方法といった一般的な「経理作業」の進め方、家族の扶養下にある場合の「所得税」「住民税」「健康保険」の扱いなども説明されました。

「開業届」の記入を通じて、なかなか思い切れない「起業」の最初のハードルを越えてしまう。それによって、生活と行動が変われば「起業家としての考え方は後からついてくる」と佐々木氏は改めて強調しました。

行動と気持ちの変化は「週1回のレポート」で振り返り

8月末に開催される「第2回」の講義に向けて、佐々木氏からは「週1本のレポート」という宿題が受講者に課されました。レポートの内容は、起業した前提での「売上、経費、所得の報告」「これまでに気付いたこと、行動や考え方の変化」「“うまくいった(続ける)こと”“失敗した(修正する)こと”“挑戦したこと”の振り返り」といった、数行程度のものです。レポートは「Google Classroom」上で提出し、講師だけでなく、他の受講者にも共有されます。

佐々木氏は、今回生みだす適正パターンとして、

・ビジョンに向けて、学習と改善を繰り返していくこと
・常に新たな「チャレンジ」を続けること
・自分の力で稼ぐこと

を挙げました。

「開業」のハードルを越え、「経理作業」に「レポート」というアクションを2カ月にわたって繰り返すことで、受講生にはどのような変化が生まれてくるのでしょうか。このプログラムについては「Day 2:変化を起こす」「Day 3:自身のビジョン・ミッションを(仮)決定する」についても、引き続きレポートしていきます。

・講師

佐々木 大也氏
大学では建築意匠を学び、卒業後クラウドソーシング事業会社に入社しインバウンドマーケティング事業部の立ち上げを行う。その後、webシステム開発会社にて新規事業を担当しつつ、個人事業主として独立。現在は、クリエイター向けシェアハウスの運営や、新規事業向けのプロダクト開発を行う。また、Vilingベンチャーパートナーズ(http://www.vilingvp.com/)取締役に就任し、教育領域の起業家への投資、学生向け起業家教育、STEAM教育事業の創出を行う。

杉崎 存紗氏
上智大学5年生、学生専門コクリエーションデザイナー。大学では首席をとり、最年少で学会登壇。インターン先で企画したサービスが日本e-learning大賞を受賞。やりたいことをもった人を増やすこと目標に、スタートアップ・上海のベンチャーへの参画を経て、現在は高校・大学生専門で10~400人規模のイベントのデザイン・運営を行う。

PAGE TOP