街づくりの視点からコミュティの本質に迫るトークイベントをレポート!

2018年度まで「社会起業家」「文化起業家」として開催していたイベントが、今年度は「SDGs×起業」シリーズとしてパワーアップしました。
今回のイベントレポートでは、そんな新シリーズの第3弾、「つながりが育む住みやすい街づくり」をテーマにしたトークイベントをお届けします。

 

 

そもそも、イベントのタイトルにもある「SDGs」とは何のことでしょうか?
それは、2015年9月の国連サミットで採択された「国連加盟193か国が2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた目標」のことで、Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略称です。持続可能な世界を実現するための「17のゴール・169のターゲット」から構成され、地球上の誰一人として取り残さない(leave no one behind)ことを誓っています。

 

世界を変えるための17のゴール ※※外務省HPより引用

 

今回のSDGsシリーズでは、自然災害、孤独な子育て、独居老人の増加、環境問題など「都市部に潜む社会課題解決」を事業とされているHITOTOWA INC. の代表取締役、荒さんをお招きし、SDGs17のゴールのうち「3」「11」の目標達成に向けた活動についてお話いただきました。

 

 

 

 

まずはラジオ体操から!

モデレーターは前シリーズにひきつづき、NPO法人インビジブルの林曉甫さん。イベントは、シリーズお馴染みのラジオ体操から始まりました。

 

ラジオ体操で頭と身体がスッキリしたところで登壇者、荒昌史さんの紹介に入ります。
荒さんは「サッカー」を通じて防災・減災などの活動も行い、今までにない面白い発想で課題を解決されています。

荒 昌史氏 HITOTOWA INC. 代表取締役
1980年生まれ。デベロッパー在籍時のCSR部署の立ち上げを経て、2010年にHITOTOWA INC.を創業。集合住宅を軸にした人々のつながりをつくることで都市の社会課題を解決するネイバーフッドデザイン事業、サッカー・フットサルを通じた課題解決を行うソーシャルフットボール事業を展開。

 

「人と和のために仕事をし、都市の社会環境問題を解決する」をミッションとしたHITOTOWA INC.には、3つのテーマがあるそうです。
1つ目は防災・減災。2つ目は子育て支援。3つ目はお年寄りの生きがい作り。
そんな3つのテーマを信条に都市のコミュニティを作るHITOTOWA INC.の代表取締役・荒さんから、愛される街づくりの方法をお伺いしました。

 

そもそもコミュニティとは何か?

荒さん:「17個の目標があるSDGsのなかでも、コミュニティの重要性は複数のカテゴリーで言われています。それでは、そもそもコミュニティとは何なのでしょうか?」

そう会場に問いかけると、参加者から「地縁」という言葉が飛び出しました。

荒さん:「コミュニティと聞いて“地縁型”を思い浮かべる人は非常に少なく、8割方の人が“趣味型”や“仕事型”を思い浮かべると思います。しかし僕の会社は、地縁型にフォーカスしています。なぜかというと、都市型のコミュニティで一番欠けているのが“いざという時に手が届く距離の助け合い”だと思っているからです。
ただ、地縁型のコミュニティと聞いて思い浮かべるのは“旧来型の町内会”で、何となく面倒くさそうなイメージがありますよね。町内会が果たしてきた機能は素晴らしいものですが、いまの時代、面倒に感じたり、地縁の輪に入りづらかったり、どちらかというと‟しがらみ化“してしまっているもののほうが多いようです。」

「その一方で、地縁型のコミュニティに入らないと近所付き合いができなかったり、孤独になったりというマイナス面も。僕らのなかでも、しがらみのない、孤独にもならない、そんなコミュニティとは何だろうと模索しながら事業をしています。」

 

街をつくる? 壊す? デベロッパー時代に感じた胸の内……

荒さん:「大学卒業後はデベロッパーに入社したのですが、そのときに感じたのは、街をつくっているのか、壊しているのか、よく分からないということです。新しいものができると元々あったものは大部分なくなってしまう。街というのは本来的には脈々と受け継がれ、それを土台に発展がある。それが“街の文化”だと思っています。」

 

街の主役は住民です!

荒さん:「コミュニティに所属していない人に、どのように参加してもらうかが常に課題となります。そこで、1人でも参加しやすいカフェを展開しています。そちらのカフェではお年寄りの男性をターゲットにしたヴィーガンメニューの提供をしています。男性は、どちらかというとあまり自炊せず、野菜不足の傾向がある。そういった理由で男性客を狙いヴィーガンメニューを提供したら、あるお爺さんのお客さんが毎週来てくれるようになりました。しかも、店員さんと仲良くなり、楽しそうに話している。もしかしたらヴィーガンメニューよりも店員さんと話すことが目的になっていたのかもしれません。でも、店員さんもお爺さんと話すことで仕事へのやりがいが生まれたそうです。コミュニティとは、関わる人のひとりひとりが幸せであること、住民が主役になれる場づくりが大切です。」

 

住民でつくり上げた大規模マルシェ

 

荒さん:「ある住民から『マルシェをやりたい!』という意見が出て、住民と協力して大規模なマルシェを開きました。もちろん僕らもサポートしましたが、ほとんどは住民がつくり上げ、そこで知り合った人達がどんどん仲を深めていきました。本音を言えば、イベントなんて失敗してもいいと思っています。イベントが成功して人間関係が悪くなるより、イベントが失敗しても人間関係が良くなればいい。業界的には、見た目のよいイベントありきになってきていますが、僕は正直、そんな見た目やキャッチーさはどうでもいい。デザイン的な視点ではどうでもよくないけど、それらは二の次です。イベントまでのプロセスや成否に関わらない感動がすごく大事で、もっと精神的なことを基軸にした街づくりをしていきたいと思っています。」

 

スポーツ×コミュニティ

荒さん:「HITOTOWA INC.では、サッカー・フットサルを通じた社会貢献事業としてソーシャルフットボール事業があります。防災訓練は真面目に取り組めば取り組むほど参加率が低くなった経験から、親子向けにサッカー防災というゲームを作りました。ボールで遊びながらしっかり防災を学べるゲームです。」

「人々を繋げるコンテンツは、日本の場合、いままでずっとお祭りや飲み会でしたが、そもそもお酒が飲めない人が増えてきています。それがコミュニティを敬遠するひとつの原因かもしれないと思い、飲食に代わるコンテンツは何だろうと考えた結果、スポーツやアート、音楽だと思いました。スポーツはハイタッチなどして身体が触れ合い、心の距離感もグッと縮まる良いコンテンツだと思います。」

 

コミュニティの本質とは

荒さん:「コミュニティの便益だけを得て、何も貢献しない人をフリーライダー(タダ乗り)と呼びます。こういった人は良質なコミュニティに発展していくプロセスには付きもの。また、マンションでコミュニティ作りをしていると、クレーマーのような人も多い。とどのつまり、地域の繋がりというのは良いことばかりじゃないんです。僕は本質的には、いいことばかりじゃないことを飲み込みながら、でも、コミュニティにしか得られない価値を得るために、みんながちょっとずつ我慢するのがコミュニティだと思います。僕らのポジションは、コミュニティ内部では言いにくいことを『それは正しいことですか?』と外部の視点から言ったり、察するようにすること。マインドセットやロール設定をし、コミュニティの目的をきちんと整理してあげる必要があります。」

 

今後のコミュニティデザインの市場と可能性

荒さん:「コミュニティ、というよりネイバーフッドをデザインする仕事には、とても可能性を感じています。しかし、住宅業界はかなりの縮小産業です。いまは再開発ラッシュですが、この流れが終われば住宅産業はさらに縮小すると思います。その一方で、少子高齢化の進行などから人々の社会的な孤立は増えていく。僕らの築いた社会問題解決のソリューションは、これからもっと必要になっていくと思います。市場を問題解決の視点で切り開けるかが重要だと認識しています。顕在的な市場を超えるような事業にしていきたいですね。」

 

すべての人に健康と福祉を。住み続けられるまちづくりを。そんなSDGsの「3」と「11」を目標に掲げた今回のトークイベント。街づくり、コミュニティづくりの視点から生まれる新しいビジネスとは、どんなものでしょうか? みなさんもこの機会にぜひ考えてはいかがでしょうか。

 

\イベントをチェックしたい方はこちら/
https://startuphub.tokyo/event

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