起業家が“死の谷”を越える鍵とは? エクイティ調達するなら知っておきたい、壁を乗り越える行動力〜後編〜

 

壁を乗り越えた2人の創業者~エクイティファイナンス実践講座プレイベント~』イベントレポートの後編をお届けします。
「あらゆるモノをIoT化する電池」を商品化して大きな話題をさらった岡部氏に、事業の前に立ちはだかった「壁」と、壁を乗り越えるために力となった信念や判断、資金についてお話しいただきました。

※前編の柴原氏の講演内容はこちら


岡部 顕宏氏 ノバルス株式会社 代表取締役
1995年株式会社アスキー入社。ゲーム大手スクウェアの新事業子会社での企画部門を経て2002年 セイコーインスツル株式会社入社。技術本部 新事業推進部にて、国内時計業界初となるBT-Watchの規格策定や電子マネー端末の事業化などを推進してきたが、「ものづくりでグローバルに通用する商品を世に出したい」という想いに突き動かされ、2015年8月に数人の仲間とノバルス株式会社を設立、代表取締役就任。
主力製品の「MaBeee(マビー)」は、「電池で動くものに電池の代わりに入れると、そのものをスマホからコントロールできるデバイス」。2015年11月にMakuakeに出品したところ、1日で目標調達額を達成し大きな話題となり、翌年には大手量販店での取り扱いも開始された。ベンチャーキャピタルからの出資も受け、数々のビジネスコンテストやアクセラレーションプログラムで入賞。MabeeeのBtoB展開を狙いながら、新製品の開発にも注力している。

 

DX社会に向けて、電池の在り方を根底から切り替える

 

岡部氏:ノバルス株式会社の岡部と申します。当社は、コネクティッドバッテリーという電池をコネクティッドすることでDX(デジタルトランスフォーメーション)やIoTを、ものやサービスと組み合わせて実現しようとしている会社です。
製造業やサービス事業者さんが、「うちはものづくりの会社で、サービスはやったことがないからわからない」、逆に「うちはサービスの会社だから、ものづくりはわからない」というような壁を払拭してデジタルトランスフォーメーションを実現することを目指し、現在起業して4年、従業員十数名の会社です。

IoTの市場規模は、IoTデバイス累計1兆デバイスと言われています。年間2000億デバイス、スマートフォンが15億デバイスとみるとケタ違いの数がIoT化されネットワークにつながる見込みです。家の中のあらゆるものがネットワーク化されようとしています。実際にそういったIoT製品をつくろうとした場合、電源と無線は共通部分であることに着目して、共通化できてかつ難易度が高い部分をコネクティッドバッテリーにパッケージ化したソリューションを提供しています。ネットワークにつながる電池のほか、そこから得られるデータの提供までをオールインワンでやっているのが特徴です。

テレビや照明のリモコンなど、今ある製品の電池を交換するだけで簡単にDXを実現できる手軽さが魅力で、専用機器がなくても今ある製品の電池を入れ替えるだけでさりげなく見守りができるサービスも始めています。
DXの懸念点として、デジタル化してネットワーク化すると、5年10年使う製品に対応できないのではという声が聞かれますが、デジタルライフサイクルの早い要素は電池の中に踏襲すれば、機器メーカーは得意分野のみに専念できるメリットがあります。

 

会社員からいざ起業後、最初の壁

岡部氏:来たるべきDX社会に向けて、電池の在り方を根底から切り替えることを目指すまでにたくさんの壁がありました。
コネクティッドバッテリーの出発点は、ちょうど6年前、「ヤミ研ワールド・カフェ」を主催していた会社員時代にさかのぼります。ヤミ研とは、引き出しの中で埋もれているアイデアやエッジの立った企画を、企業の枠を越えてワールド・カフェ形式でディスカッション・交流する会のこと。コネクティッドバッテリーはそこで出たアイデアが発端で始まり、その後メンバーで部活動的に試作品を作ってみたりしていました。
途中、製品の仮想ユーザーとなる子供たちを集め、楽しんで使ってくれるか仮説検証を立て、ユーザーインタビューするまでを起業前に繰り返し行っていました。

 

 

手探りでカタログ作成し展示会に出展するも手応えなし…
何とか挑んだクラウドファンディングで風穴

岡部氏:そこから約2年、停滞時期もありながら、起業の目標期日なくやっていましたが、ある日私が会社を退職し起業を決断。ところが、ほかのヤミ研メンバーは会社を辞めないと判明。独力で何とかしなくては…とはいえ量産品ってどう作ればいいのか? お金もないし…というところから始めました。まずはCGに描いたものからカタログを作成し展示会に出展。BtoBの顧客を獲得するつもりでしたが、実績がないため採用されるはずもなく、案件化することはまったくありませんでした。

その後、クラウドファンディングサイト「Makuake」でクラウドファンディングを実施。そこで何とIoTベンチャーカテゴリーで支援者数1位になり、総額約640万円(目標額に対する達成率1280%)の支援を受けることができました。その結果、多くのメディアで取り上げられ、クラウドファンディング中ながらTV、ラジオをはじめ、多数のメディアへの露出は大きなインパクトになりました。

 

そして、スマホでコントロールできる乾電池型IoT製品「MaBeee(マビー)」として一般発売を開始。発売前にメディアで多く取り上げられたことから、事前に商品を販売したいという声もいただき、ビックカメラ等の大型量販店をはじめ各店舗で大きく展開してもらうことができました。

効率を重視し見えてきた次の課題と世界への挑戦

岡部氏:BtoCで国内600店舗まで製品の販売を展開できたところまでは順調でしたが、自分たちだけでBtoCマーケティングを続けるには効率が悪く、その後BtoBの顧客開拓を積極的に進める方向に切り替えました。その時点でいくつか大企業のアクセラレーションプログラムにもエントリーし、採択されて事業提携を進めたり、経産省や総務省のプログラムでも採択いただいたりしました。昨年はアメリカの展示会「CES」に出展。電池は世界共通サイズなのでIoTバッテリー、コネクティッドバッテリーというだけで世界中から引き合いを受けたことも大きかったです。
BtoCから始めBtoBを広め、グローバル展開を目指しながら、コネクティッドバッテリーという、新しいカテゴリーを世に広めたく邁進しています。電池って単体では成立しません。必ず何かの製品に組み合わせて使うので、メーカーさんと一緒に開拓できたらと思っています。

 

まだひとつの壁を超えたにすぎない、これからも超えなくてはいけない壁が出てくると声を揃えるおふたり。でも、超えられない壁はない、とアドバイスする岡部氏。
おふたりの起業家としてのチャレンジはまだまだ続きます。

 

イベント後半の座談会パートは、近日公開予定です。お楽しみに!

 

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