江戸時代から令和へ。現代版の家守とはどんなビジネス?

 

みなさん、「家守」という職業をご存じでしょうか?
主人不在の家屋敷を預かり、その管理・維持に従事するという、江戸時代にあった職業です。大家さんに代わり住民と地域を繋ぎ、街を統括していく。そんな「家守」の現代版ともいえる活動をしているのが、「欲しい暮らしはつくれる」をコンセプトに空き家活用から街作りをしている岩淵家守舎。自称「暮らし探求家」を名乗る代表取締役の織戸さんは、東京都北区の「岩淵町」に住居を移し、「築60年を超える長屋をコト(事)とイロ(色)の滲みだす街のシェア地点へ」とエリアリノベーションを仕掛けています。

高齢化する街、世代間交流の断絶、空き家……。
どの街も抱えているという問題に「岩淵家守舎」はどう立ち向かっているのか?
先日開催された、SDGs×起業#08 街をシェアするコミュニティビジネス~人と人がつながる エリアリノベーション~では、SDGsの「9(産業と技術革新の基盤をつくろう)」と「11(住み続けられるまちづくりを)」を視点にお話しいただきました!

 

織戸 龍也氏  株式会社岩淵家守舎 代表
1988年、東京生まれ。武蔵野美術大学卒業後、アトリエ系設計事務所を経て独立。
フリーランスのデザイナーとして「Oriage(オリアージュ)」を開業。2017年秋、東京都北区岩淵にて、シェアキッチン&コワーキング「co-toiro(コトイロ)」の運営をスタート。暮らし探求家を名乗り、空き家活用をとおして、人と人がつながる街づくり、エリアリノベーションに取り組み続けている。(2018年度北区ビジネスプランコンテスト最優秀賞受賞)

 

そもそもSDGsって……?

持続可能な開発目標(SDGs)とは、2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標です。持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲットから構成され、地球上の誰一人として取り残さない(leave no one behind)ことを誓っています。SDGsは発展途上国のみならず、先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり、日本としても積極的に取り組んでいます。

※外務省HPより引用

【今回のゴール】

 

 

岩淵町に住み、生活し、理想の暮らしをブランディング

まずは自分が街を知るため岩淵町に引っ越し、「欲しい暮らしを作ろう」というコンセプトを掲げた織戸さん。

織戸さん:「住むというのは、所を決めて生活する状態。暮らすというのは、生活し、生計を営む状態。暮らしのなかには住む以外にも食事をしたり、働いたりと様々なシーンが混在しています。『欲しい暮らし』とは、人により様々ですが、人との接点がある場所であることは共通の想いだと考えています。」

家守とは、どんなサービス?

織戸さん:「岩淵家守舎のサービスは、本当に『なんでも屋さん』なんです。街の提案もすれば、設計もし、人を育てたりもします。活動はとても地道で、自治会に参加したり、消防団に入ったり。地域の昔からいる人たちにどうやって受け止めてもらうかを考えながら、同時に自分たちも街を好きになっていくことを楽しんでいます。事業としては、実際に住んで暮らし始めたのがスタートです。住んで暮らすことで街に必要なものが見えてくる。それを順々に追って事業化しています。」

街に必要なものを事業化しているという岩淵家守舎。欲しい暮らしを実現するために働き、仲間を増やし、同時に関係者を増やすために街の外へ出ていく。こうした活動をビジネスに落とし込み、補助金を使わずに運営していくにはどうすればいいのか? 織戸さんはいま、3つの活動をしています。

織戸さん:「まず1つ目は、DIY可能な賃貸「コトイロの家」の運営です。普通の賃貸では隣人と話す機会は少ないですが、物を貸し借りし、シェアすることにより会話が生まれる。北区は職人さんが多い街でもあるので、近所のおいじいちゃんたちを巻き込んで手伝ってもらったり、知恵を拝借したりしています。」

 

 

織戸さん:「2つ目は、同じ「コトイロの家」供用棟の「シェアキッチン」と「コワーキングスペース」の運営です。コワーキングスペースは外部の人も使えるので、住民との交流が生まれる。シェアキッチンではグルメコワーキングと称し、『ひとりではなかなかやらないことをみんなでやろう!』と、食の好きな住人さんたちが料理やお酒の研究などを楽しんでいます。」

 

 

織戸さん:「3つ目は、店舗の誘致と創業支援。まず空き家を活用する上でコンテンツが育たたないとつまらない場所になってしまいます。街全体のバランスを考えながら、『こういう物件があります』、『こういう人材を求めています』と紹介しながら活動しています。僕らの敷地内に誕生した珈琲屋と自転車屋を組み合わさった長屋はいま、互いの相乗効果でどんどん売り上げを伸ばしています。」

私道で定期開催しているマルシェの効果について

高齢化による事業の後継者不足から、次々と街の事業が幕を下ろしています。岩淵町も中華そば屋、製麺所、140年続いていた酒蔵が廃業してしまいました……。
子どもの地元離れ、空き家問題、世代間交流の断絶と地域課題は深刻です。町内で飲食店や買い物ができる場所がなくなり、暮らしにくく、人と人との交流も色褪せていく。そんな岩淵町が活気を取り戻したキッカケのひとつ、「宿場町まるしぇ」についてお話しいただきました。

織戸さん:「マルシェの企画運営として、私道を利用し1、2ヶ月に一度のペースで「宿場町まるしぇ」を開催しています。私道では子どもがご年配の方々とベーゴマ遊びをしたり、染色工場の跡地で染色のワークショップをやったり。また、農家の人に来てもらって野菜を販売したり、自分たちで作ったビールを販売したり。こうして一日だけでも商店が増えると街の交流が活気づきます。しかも「宿場町まるしぇ」の交流は、地域内だけにとどまりません。出店者・生産者と来場者が近い距離で話すことにより交流が生まれ、いまでは行政も出店者の土地へ視察に出向くという絆が結ばれています。」

 

 

今後の事業展開とは?

織戸さん:「空き店舗や空き家をどんどん活用していきます。それは店舗のマッチングだけでなく、いま地域にある事業をバリューアップしていく計画も視野に入れています。地域にある後継者のいない事業をどうつなげていくか?その橋渡しをしながら自分たちの事業にくっつけることで付加価値をつける。そんな事業展開を考えています。」

織戸さんが最初に始めたのは岩淵町に「住む」ということでした。そこから「暮らす」ことに広がり、さらにはマルシェをキッカケに「エリアを拡張する」ところまで来ました。織戸さんは、その先にあるのが「次世代を考えるステージ」だとおっしゃいます。
高齢化、世代間交流の断絶、空き家問題。どの街も抱えている地域問題を、織戸さんは岩淵家守舎の経営理念「エリア価値の向上を目指しながら街づくりをしていく」に従い、エリアリノベーションを仕掛けています。

 

岩淵町のこれからが楽しみになる、そんなトークイベントでした。

 

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https://startuphub.tokyo/event

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