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【イベントレポート】飲食店開業を4ヶ月間にわたって学ぶ体験型プログラムがスタート! -「飲食店開業プログラム」Day1

2017年10月29日、「飲食店開業インターンシッププログラム~わたしの開業、はじめの一歩~」が開催されました。このプログラムは、飲食店の開業をめざす女性向けの“体験型プログラム”です。開業に必要な知識を習得するセミナーはもちろん、開業後のビジネスプラン・接客マニュアルの作成、実際の店舗でのインターンシップ研修まで、4ヶ月間にわたって参加者に伴走し、開業のはじめの一歩をサポートしていきます。講師は、500店舗以上もの飲食店コンサルタント実績を持つ山川博史氏。初回のこの日はオープニングセミナーとして、開業前に知っておくべき基礎知識が伝授されました。

未経験者の飲食店開業を全力でサポート

最初に登場したのは、このプログラムのコーディネータ 浜田哲史氏です。浜田氏は、大阪で過去10数年にわたり飲食店開業を支援する「あきない虎の穴」プログラムに関わってきました。

飲食店は気軽に開業されがちですがやってみるとなかなか難しく、5~10年後の生存率は10%を切ると言われています。その中で、『あきない虎の穴』プログラムに参加して開業された方はすでに約80名に上り、廃業される方が少ないと定評を得ています。このプログラムもそれにのっとり、しっかりサポートします。ぜひStartup Hub Tokyo を徹底活用し、同期の参加者やプログラムで知り合った方々との縁を大切にしながら、安心して開業準備を進めていってください」

同氏はこのように参加者へオープニングメッセージを送りました。

さて、開業で何より重要なのは資金調達です。個人や小規模事業者が安心して頼れるのは公共性の高い金融機関で、この日は株式会社日本政策金融公庫 国民生活事業 東京創業支援センター 所長 小池俊太郎氏が登場。都内5,000件の飲食店開業融資実績に基づいて、創業計画策定のポイントを説明しました。ちなみに、同社は東京創業ステーションの2階に開業志望者向けの相談拠点を設けています。

借り入れの際、必ず求められるのは事業計画書と見積書です。金融機関はこれらの書類のどこをチェックしているか。小池氏は次のように語ります。

「われわれは自己資金額だけを見ているわけではなく、そこにこだわる必要はありません。それよりも準備をどれだけしっかり行っているかが重要です。資金はコツコツ貯められているか、開業の動機にその方ならではの情熱やオリジナリティはあるか、見積書は根拠のある数字になっているか。なかなか軌道に乗らなかったときはどうやってしのぐつもりか。諸々の計画がしっかり練られているかどうかを見ています」

また、早々にうまくいった場合、うまくいかなかった場合、その中間の場合、と売り上げのシミュレーションをいくつか立て、その対策を前もって考えておいた方がよいとも同氏は語り、開業した後も事業計画書と一期目の決算書、二期目の決算書と三期目の決算書を比較しながら、経営改善のPDCAを回し続けるようアドバイスしました。

「借り入れだけなら、それほど難しいことではありません。今日は女性向けの特別利率制度が複数用意されており、お金を借りやすい環境は整っています。しかし、皆さんにとっては借り入れに成功することではなく、事業を続けていくことこそが目的です。そうした観点で主体的に事業計画書を作成されることをお勧めします」

オープニングセミナー後半は、コーディネータ 浜田氏の進行の下、参加者が自らの開業動機と店舗コンセプトを発表する時間から始まりました。総勢12名の方々が簡単に自己紹介しつつインターンシップ研修に入る店舗を発表、構想するお店のプランを語ります。お話を伺うと、多くの方がすでにしっかり店舗コンセプトを立てており、「〇〇という街で開業したい」「他の業態との併設スタイルで開業したい」「こういう商品を提供する」「子育ての世代の女性をメインの顧客層と考えている」などと非常に具体的です。

そのため、講師 山川氏への質問も、「成功の指標を売り上げに置くべきか、それとも他の何かに置くべきか」「一人で最大何人の顧客に対応できるものなのか」「イートインとテイクアウト、そのメリット、デメリットは?」「一日の回転数をどう算出したらいいのか?」などと、ポイントを突いたものでした。

これらの一つ一つの質問に対し、山川氏は自身のコンサルティング経験を踏まえ丁寧にアドバイスし、参加者はメモを取るなど熱心に聞き入っていました。

まず必要なのは「こういう飲食店を開きたい」という強い思い

ラストは山川氏のミニセミナーです。同氏はまず、なぜ自分が飲食業界でキャリアを築くことになったのかというところから明らかにしていきました。

高校を卒業して長崎から関西に出てきました。社会体育の学校へ行きつつインストラクター職についたのですが、居抜き物件が出たのをきっかけに友人と飲食業界へ進むことになりました。そこで5年店長を経験した後、その店を買い取って独立。繁盛店に導いた後、業務委託形式で経営店舗を拡大していくのですが、オーナーの失踪により一転経営が悪化します。消費者金融に多額の借り入れをして返済に追われるなど苦労の末に、試行錯誤で独自のノウハウを確立、完全に経営を立て直します。そして今では、その卓越した飲食店プロデュース能力を活かして、東京・大阪に話題の店舗を次々オープンさせています。

その山川氏が参加者へ最初にこう自問するよう勧めました。

「なぜ飲食店なんでしょうか。儲かるなら別のほかの業態でもいいじゃないですか。皆さんの中に『いや、私はこれこれだから飲食店でないとダメなんです』という強い思いがあるでしょうか。それがあれば、一時的にしんどいときが来ても乗り切ることができます。『なんとなく』『かっこいいから』という理由では耐えることができません」

では、具体的に開業へ向けて何から始めたらいいのか。大きく2つあると山川氏は話します。それは、店舗経営を学ぶこととマーケットの動向をつかむことです。

店舗経営方法とは立地選定や財務管理、設備投資などを意味しており、経営者として当然の習得項目ですが、今のトレンドやニーズを把握することも店舗経営と同じぐらい重要だ、と同氏は言葉に力をこめます。飲食業界では、求められていないことを始めても、ニーズが満たされているところへ後発で入っても成功する可能性は低いのです。

そして、山川氏は「お店を黒字に導く5つのポイント」として以下を挙げました。

①立地
②商品
③スタッフ
④初期投資
⑤コスト管理

この中でも、立地は成否の7割を占めるほど重要だと言います。また、店舗のみならずその周辺調査についても、将来の見通しも含めてしっかり調査しておくべきであるようです。物件の契約を焦る必要はまったくない、と山川氏は助言します。

商品については、顧客に「また来たい」と思ってもらうメニュー構成を考える必要があるといいます。そして、一回にたくさん飲食してもらうより、一回の支払いは少なくても一年にわたって何度でもリピートしてもらえるモデルをめざします。

さらに、スタッフの雇用や育成にもコストがかかること、初期投資をかけすぎないこと、こまめにコスト管理を行うことといった基本的なルールをしっかり守ればそんなに大きく失敗することはない、と同氏は参加者の背中を押しました。

「恐い話もしましたが、要は、私がしたような失敗は皆さんはしなくていい、ということです。今後のインターンシップ研修では、経営者の視点で店舗をしっかり観察してください。わからないこと、困ったことがあれば、一人で考えこまず、どんどん聞いてください。飲食店経営は毎日がライブ。たくさんの感動を与えるすばらしい業態です。皆さんもその仲間に加わってください」

山川氏はこのようにセミナーを締めくくりました。

この後このプログラムは、参加者が実際の飲食店現場に入り、 店舗経営を学ぶ5日間のインターンシップ研修へと続いていきます。

・講師

山川 博史

株式会社オフィスヤマカワ 代表取締役
8G HOLDINGS 株式会社 取締役副社長COO
アンドモワ株式会社  社長室長PMO
一般社団法人これからの時代の・飲食店マネジメント協会 代表理事

1971年 長崎生まれ
23歳で飲食業界に入り現場経験を積み27歳で創業。2年間で5店舗を出店したものの、契約先の経営者が疾走し高額の債務を負う。調達知識も無く資金繰りのために高金利の融資を受けるが、経営は回復せず2店舗を撤退。その後、トラックで残った3店舗へ食材配送しながら店舗再生・活性化を図り、ノウハウとチームビルディングシステムを蓄積。その実績が不動産開発・飲食店展開を行う企業などから評価され、新規出店や業態開発などのプロデュース件数が増える。京都烏丸つゆしゃぶchiriri美川憲一レストランプロジェクト、ステラ薫子のタロットダイニングプロジェクト、鉄道バー銀座パノラマプロジェクトなど出店場所のロケーションを活かしたレストランを東京・大阪を中心に10店舗展開。2011年東日本大震災を機に創業会社をM&Aで譲渡し、本格的に飲食店マネジメントコンサルティング事業に移行する。現在はコンサルタントとしても継続クライアント店舗数も500店舗を超え、飲食店チームマネジメントの専門家集団「これからの時代の飲食店マネジメント協会」代表理事として飲食店のマネジメント教育に携わる。

著書
1店舗目で成功したオーナーはなぜ2店舗で失敗するのか(アーク出版)
脱サラしてお店をオープンする人の8割がなぜ失敗するのか(アーク出版)
崖っぷちのお店を3ヶ月で復活させる55の速攻リセットプラン(アーク出版)
これからの時代のリーダー論(サンクチュアリ出版)

・コーディネータ

浜田 哲史
大阪産業創造館 スタートアップ支援チーム チーフプランナー
一般社団法人 NIPPONの営業マン 代表理事

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