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【イベントレポート】実店舗でのインターシップ研修前に、ロールプレイングで運営イメージをつかむ -「飲食店開業プログラム」Day2

2017年11月8日、「飲食店開業インターンシッププログラム~わたしの開業、はじめの一歩~」のDay2 実習前研修が開催されました 。このプログラムは、飲食店の開業をめざす女性向けプログラム”です。開業に必要な知識やビジネスプランから実際の店舗でのインターンシップ研修まで、4ヶ月間にわたって学んでいきます。インターンシップ研修では、実店舗に入ってさまざまなオペレーションを学びますが、その中にはスタッフミーティングへの参加や接客も含まれます。そこで、インターン受け入れ先店舗の一つであるtiny peace kitchenのホールを借りて、コーディネータ 浜田哲史氏 の司会の下、講師 山川博史氏がロールプレイングを取り入れた講習を行いました。

実際に体を動かしながら、インターンシップ研修を予習する

この日の参加者は10名。今回はラウンドテーブル方式でセミナーを行います。まず浜田氏は参加者どうしの自己紹介を促しました。セミナー後半はチーム作業になるため、少しでも早く親しくなっておいた方がいいからです。ネームストラップに呼んでもらいたい名前を書いて、一名ずつ簡単にあいさつ。いよいよ研修が始まったせいか、なごやかな中にも皆さん少し緊張されている様子です。

「今日は実際に体を動かして 、インターンシップ研修の予習をしていただきます。3チームに分かれて、飲食業で重要なあいさつである『いらっしゃいませ』『こんにちは』などをどういうか、注文はどのように取るか。レジュメ に沿って山川さんが一つずつ解説していきます」

そう語って浜田氏は進行のバトンを山川氏に渡しました。

挨拶とは「自分の心を開いて相手を受け入れること」

最初のテーマは「挨拶」です。山川氏は「まず、挨拶を整理するところから始めましょう。なぜ飲食店では挨拶が必要なのでしょうか」といって、参加者一人ひとりに尋ねていきました。参加者からは「コミュニケーション」「お客さまへの礼儀」などとさまざまな回答が上がりました。一つ一つうなずきながら聞いていた同氏は、「これらもまちがっていないけれども、飲食業界における挨拶は自分の心を開いて、相手を受け入れる姿勢を作ること」と説明しました。

そして、挨拶作法の一つとして分離礼を紹介。これは、先に挨拶の言葉を口に出して、そのあとでお辞儀する礼の方法です。これに対し、挨拶の言葉と同時にお辞儀する方法を同時礼といいます。分離礼は同時礼より丁寧な挨拶であるため、飲食店オーナーとしてこの礼を身につけ、アルバイトなどのスタッフに教えることを山川氏は勧めました。挨拶一つで飲食店の印象は大きく変わるからです。

「ひと昔前は後輩から進んで先輩に対して挨拶するもの、とされていましたが、時代は変わりました。今は先輩から駆け寄っていって挨拶し、挨拶作法から教えていかないとアルバイトはすぐに辞めてしまいます。挨拶がうまくできないとお客さまに対しても雰囲気がよくない店という印象を与えてしまいます。まずは丁寧な分離礼をきちんと身につけましょう」(山川氏)

そして参加者全員で、心をこめた分離礼を練習しました。

続いては、飲食店で最も頻繁に使われる「いらっしゃいませ」「お待たせいたしました」「ありがとうございました」などの十大用語の練習です。一人ずつ順番に発声し、その後全員で復唱するという形式で行いました。その後、山川氏は参加者に実際に練習してみた感想を尋ねます。「まだ少し恥ずかしい」という答えも返ってきましたが、「挨拶はお客様との一番基本的なキャッチボール。恥ずかしがらないで、家でもほんとうに声を出して練習してください」と山川氏はアドバイスをしていました。

インターンシップ研修では、ポイントを絞って注意深く観察しよう

今後体験する実店舗でのインターンシップ研修では、注意深く観察することが重要だと山川氏は話しました。店舗デザイン、音楽、照明、厨房、スタッフ間の コミュニケーション、衛生面など自分が確認しておきたいことを事前に整理しておき、ポイントを絞って観察するとともに、小さなメモ帳を持参して気づいたことを書き留めていくといいようです。そして、気になることは「聞く」。ただし、質問攻めは禁物で、営業時間はオペレーションを積極的に手伝います。そして、業務終了後に質問の時間を取ってもらいます。

一方、開業した後、スタッフ教育をどう進めていくかも飲食店オーナーがずっと携わっていくことになるテーマです。掃除をしてくれない、身だしなみが整っていない、いつも遅刻してくる、などといった事態に遭遇したとき、どう対処したらいいか。山川氏は、主語をお客さまにしてスタッフに理解を促す、と話しました。

「『なぜきちんと掃除できないの?ちゃんとやってよ』『手洗いは当然でしょう?』というのではなく、『掃除が行き届いていないとお客さまが悲しむよね』『身だしなみが整っていた方がお客さまに喜ばれるよね』と説明しましょう。常にお客さまを主語にして、感じのいい店をめざします。それが実現できているかどうかのバロメーターは、お客さまが帰るときに振り返ってくださるかどうかです。いい店なら、お客さまは振り返って笑顔で挨拶を返してくださいます」

このようなスタッフ教育を実現するためには、最初にしっかりルール設定をしておくことが肝心です。山川氏が関わっている店舗では、動画マニュアルをスタッフに見てもらったり、身だしなみができていることを動画に記録するなどしていい雰囲気を維持しているそうです。

ロールプレイングをすることで、いろいろなことが見えてきた

これで実習に入る心構えができました。今度は3チームに分かれ、ロールプレイングに向けて接客コンセプトを話し合います。基本イメージは、おしゃれな洋風カフェのランチタイム。その店では、スタッフはどこで、どんな姿勢で待機しているのか。お客さまを「いらっしゃいませ」と迎えるのか、それとも「こんにちは」と迎えるのか。注文を取るときの姿勢はどのようにするか。議論しながら飲食店を運営する立場でオペレーションスタイルを絞りこんでいきます。チームに分かれたものの、最初はどのような方向性を目指せばいいのか戸惑う様子も見受けられました。しかし、十数分後、チームごとに発表するころには、それぞれのチームの中でコンセプトはしっかり固まっていました。

いよいよロールプレイング研修です。1チームが店舗スタッフ、1チームがお客さん役、1チームがロールプレイング観察という役割分担で、参加者一人ひとりが接客を体験していきます。

ほとんどの参加者にとってこのようなロールプレイングは初めての経験で、店舗スタッフ役チームも、お客さん役チームも、少しぎこちない感じでした。1チームの接客が終わったところで、山川氏 がコメントし、実際に動きを見せながらアドバイスをしていくのですが、その的確な指摘に参加者は大きくうなずいたり、感嘆の声を上げていたりしていました。

たとえば、「動きは少しオーバーめに」という解説では、お客さんをドアまで迎えにいくのにさっと駆け寄っていったり、料理の皿をいったんお客さんの前で持ち上げて提供したりしてみせると、それだけで歓迎している雰囲気が高まります。また、メニューはお客さんのそばで見せればよい、というものではなく、お客さんにとっての見やすさを考え、たとえば正対して見せる、目の高さを合わせる、など、どうすれば見てもらいやすいかを工夫する必要があるとのことでした。

最後のチームが実習するころになると、参加者も慣れてきて、お客さん役チームは「あとからもう一人来ます」、店舗スタッフチームは「ランチにドリンクセットをつけられます」などと、より複雑な設定をアドリブで考え出すまでになりました。それでもスムーズな流れで接客が進み、ロールプレイング研修らしい成果が十分に出ていました。

この後、参加者はそれぞれすでに決定しているインターンシップ先に入って、5日間にわたって実際の店舗経営を学んでいきます。

・講師

山川 博史

株式会社オフィスヤマカワ 代表取締役
8G HOLDINGS 株式会社 取締役副社長COO
アンドモワ株式会社  社長室長PMO
一般社団法人これからの時代の・飲食店マネジメント協会 代表理事

1971年 長崎生まれ
23歳で飲食業界に入り現場経験を積み27歳で創業。2年間で5店舗を出店したものの、契約先の経営者が疾走し高額の債務を負う。調達知識も無く資金繰りのために高金利の融資を受けるが、経営は回復せず2店舗を撤退。その後、トラックで残った3店舗へ食材配送しながら店舗再生・活性化を図り、ノウハウとチームビルディングシステムを蓄積。その実績が不動産開発・飲食店展開を行う企業などから評価され、新規出店や業態開発などのプロデュース件数が増える。京都烏丸つゆしゃぶchiriri美川憲一レストランプロジェクト、ステラ薫子のタロットダイニングプロジェクト、鉄道バー銀座パノラマプロジェクトなど出店場所のロケーションを活かしたレストランを東京・大阪を中心に10店舗展開。2011年東日本大震災を機に創業会社をM&Aで譲渡し、本格的に飲食店マネジメントコンサルティング事業に移行する。現在はコンサルタントとしても継続クライアント店舗数も500店舗を超え、飲食店チームマネジメントの専門家集団「これからの時代の飲食店マネジメント協会」代表理事として飲食店のマネジメント教育に携わる。

著書
1店舗目で成功したオーナーはなぜ2店舗で失敗するのか(アーク出版)
脱サラしてお店をオープンする人の8割がなぜ失敗するのか(アーク出版)
崖っぷちのお店を3ヶ月で復活させる55の速攻リセットプラン(アーク出版)
これからの時代のリーダー論(サンクチュアリ出版)

・コーディネータ

浜田 哲史
大阪産業創造館 スタートアップ支援チーム チーフプランナー
一般社団法人 NIPPONの営業マン 代表理事

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