スタハ卒業生に聞く!先輩起業家インタビューvol.1

スタハを卒業し、起業した先輩起業家の皆さんのインタビュー。
今回は、株式会社efitの宮原勝利氏に、起業に至るまでの道のりや、当時スタハをどう利用したか、などをお聞きしました。

 

起業家プロフィール
宮原 勝利氏(みやはら かつとし)
茨城県古河市出身。明治大学理工学部卒業後、国内大手証券会社で営業に従事し、トップセールス賞獲得。2017年に退職し、株式会社efit(エフィット)を設立。個人が簡単に自動売買の投資ロボットを作成・公開し、誰でもそのロボットを使うことができるプラットフォーム『QUOREA(クオレア)』を運用中
会社URL:https://quorea.jp/
サービスサイトURL:https://quorea.jp/login.php


起業のキッカケは、証券会社の営業経験で抱いた“違和感”

――起業したいと思った動機ときっかけは何だったのですか?

宮原さん:証券会社で個人富裕層向けの営業を7年間担当してきました。そこで、日本の金融機関がいかに自社の都合だけで金融商品を売っているかを、目の当たりにしてきました。金融機関は投資信託などの商品を設計し、高いコストを乗せて売っている。その結果、投資家は利益を出しにくくなり、金融機関だけが儲かりやすい構図になっていました。一方、ネット証券を使い自分で投資銘柄を選択し、ポートフォリオを組むことは可能ですが、そこまでできるのは時間と金融リテラシーのあるごく限られた人だけです。そうではなく、すべての人が自分で簡単に金融商品を設計したり、その設計した金融商品を他の人にシェアできる。結果として個人投資家が利益を享受できる社会を作りたい。そう思ったことが起業の動機です。

証券会社にいる時から自らブログを開設し、自分の株式ポートフォリオと投資アルゴリズムを公開していました。これが結構良いリターンを出しており、読者もそれを真似して投資し、実際に儲かっていました。自分だけ儲かっていれば十分じゃないか、という考えもあるかもしれませんが、僕は、この“誰かが作った、良い投資ポートフォリオと投資アルゴリズムを真似して、皆がHappyになる”というアイデアをどうしても実現したかったのです。証券時代に、株や投資信託を売って損をさせてしまった投資家への贖罪の気持ちもありました。

本格的にやってみようと思ったきっかけは、CTOの飛田さんとの出会いがあったからです。彼は本当に優秀なエンジニアで、僕の世界観に強く共感してくれました。彼がいなかったら、僕の想いがこうしてプロダクトとして現実のものになることはありませんでした。


行き詰まった!そんなとき、スタハのコンシェルジュにSOS

――宮原さんは、2017年の夏ごろ、事業のアイデア段階からStartup Hub Tokyoをよく利用してくれていて、コンシェルジュ起業相談にも来てくれましたね。相談の中では「いったい誰向けのサービスなのか?」という議論をしていたのを覚えています。

宮原さん:はい。誰向けのサービスなのか、コアな価値は何なのか、本当に試行錯誤していました。

(1)自分で投資ロボットを簡単に作れ、それを使って投資ができる
(2)他人の作った投資ロボットを使うことで、初心者でも簡単に投資ができる
(3)自分の作った投資ロボットを他人に使ってもらうことで、利益が自分にも分配される

この3つを同時に満たすプラットフォームになり得る、という確信は、当時からありました。ただ、人によってこの3つの魅力のうちのどれに魅力を感じてくれるかは異なります。よって、説明の仕方が毎回ブレてしまい、その結果、作るべきプロダクトが見えなくなってしまう状況に何度も陥りました。


――そんな状況下で、Startup Hub Tokyoやコンシェルジュ起業相談はどう役に立ちましたか?

宮原さん:チーム内で何度も議論して、でも行き詰まってしまって。そんな時に、コンシェルジュの方に相談に行きました。そこで、客観的な意見や新しい視点をもらい、持ち返ってチームでまた議論して……。アイデア磨きにはアイデアの拡散と収斂を繰り返すことが良いとされていますが、それをチーム内だけでやっていると、堂々巡りになりがちです。ですので、コンシェルジュ起業相談は、アイデアをまとめるよい機会になりました。当初はもっと混沌としていてまとまりきれていなかったアイデアが、先ほどお話しした3つの魅力に整理できたのも、コンシェルジュの方の意見があったからこそだと思っています。


資金調達はとにかく“刺さる人”をターゲティング!

――そして、2017年10月に会社を設立して、12月にはVCからシード資金を調達しています。VCとの交渉はスムーズに進みましたか?

宮原さん:会社を設立した頃に、“投資アルゴリズムを使ったロボットが簡単にできる”というプロトタイプができ、ブログの読者100名くらいが登録してくれた、という状況でVC回りをしました。

コンシェルジュの方からは、「このビジネスは、刺さる人には刺さるけど、刺さらない人にはまったく刺さらないので、とにかく刺さりそうな人を探して会いに行きなさい」と言われました。正にその通りで、今の金融のあり方に強い問題意識を持つバックグラウンドを持った人には刺さりやすい。でも、そういった金融サイドの方は、トラクションが無い段階では投資をしません。

50社位のVCにアプローチして、初回面談まではたどり着くのですが、その先に進まない。「とりあえず資料出して」と言われて提出しても、返事がない。VCの人から、「検討した結果、投資は見送りとなりました」と連絡があり、「あぁ、検討してくれたんだな」と感謝するぐらい。VCから返事すら来ないことも往々にしてありました。あるVCは、担当者がアイデアに惚れ込んでくれて、「絶対に社内を通します!」と言っていましたが、結局通らず……。12月末には資金ショートだ、という状況で、12月中旬にようやくあるVCに投資を決めていただき、生き延びることができました。


――その後、仮想通貨取引に絞ってプロダクトをローンチし、2019年3月には次のラウンドの資金調達にも成功されていますが、今回はある程度のユーザーからのフィードバックとトラクションを投資家に見せながらの調達になりましたか?

宮原さん:サービスの本命は株式のトレーディングに使えるプロダクトですが、金商法の関係上、まずは仮想通貨取引用途を先行させました。投資ロボットを作って、それをシェアでき、シェアした相手が利益を上げるとその一部がロボットを作った人に還元される、という仕組みは回っており、約定の件数は月間9万件を超え、収益も計上されています。

実は、最初に考えていた「3つの魅力」に加えて、ユーザーの喜びをもう一つ発見することができました。
それは、

(4)自分の作った投資ロボットが他人に使われ、「利益が出ました!」と感謝される

というものです。

投資ロボットを作って公開しているユーザーにファンがつき、自然とコミュニティができていました。考えてみるとこれは、僕が最初にブログでやっていたことと同じで、読者から感謝される喜びが、僕の起業の原点だった気がします。そう考えると、一周回って戻ってきたのかもしれません。
ネットを介した投資や資金運用は個人で黙々とやるイメージでしたが、QUOREAによってまったく新しいスタイルが生まれるかもしれないとちょっとワクワクしています。

とはいえ今回の調達資金でも、やはり刺さる人には刺さりましたが、刺さらない人には全く刺さりませんでした。トラクションを持って臨んだつもりですが、多くのVCから「仮想通貨だけだとトラクションとして評価できない」と言われました。そんななか、最終的に既存VCと事業会社に加え、証券会社系のVC2社からも出資していただき、嬉しく思っています。


次に目指すはユーザ層の拡大

――今後の展望を教えてください。

宮原さん:今回の資金調達で、ついに株式投資向けのサービスの開発が完了します。
証券会社との口座連携の準備も進んでいますので、それに合わせてユーザーの裾野を広げていきたいと思っています。そのためには、マーケティングや広報のスキルは不可欠。その辺りのスキルを強化していきたいと考えています。

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