研究開発の成果をベースに起業する際のポイントは?

コンシェルジュ通信では、スタハで実施しているコンシェルジュ起業相談の事例をもとに、少し発展的なトピックスをご紹介します。
3回目の担当は、熊谷孝幸コンシェルジュです。

 

研究成果で起業するには?

 

Q:研究開発の成果をベースに起業する際のポイントはありますか?

 

A:アイディアをベースにした起業とは大きく異なります。製品やサービスが上市するまでに
 ① 原理実証
 ② プロトタイプ
 ③ 量産試作
 ④ 量産
というステップがありますが、それぞれのステップで多大な時間もお金も必要です。また、特許戦略も非常に需要で、簡単に真似されないように幅広い範囲をカバーしながら国際特許も取得していくことになります。

 

とあるセンシング技術を応用したセンサーデバイスで起業しようとしたことがあります。そのセンシング技術は特許評価も高く、大きな事業になるのではないかと期待されていました。原理実証は完了していて、これからプロトタイプを作ろうという段階でした。まずはニーズがあるか確かめようと、実機は無いけど紙の資料で顧客インタビューを実施し様々な情報を集めました。その結果、ニーズはあるものの、プロトタイプを1台製作するだけで3000万~4000万円かかることが予測される一方で、市場規模は全体でも数十億円前半しかないということがわりました。また、数は少ないものの既に競合製品が販売されており、今後より優れた製品が販売されることもわかりました。量産試作に数億円、その後の量産に必要なコスト、そして競合の状況も考えると、事業として全く成立しないことがわかり、結局起業に至りませんでした。

この事例から学べるのは、製品/サービスを上市するまでに必要な投資額を回収できるだけの市場があるかの検証が非常に重要であるということです。研究開発の成果をベースにした事業化はニッチな分野に特化しがちで、十分な市場の大きさが無いケースが多くあります。また、特許としての価値と市場価値とは全くの別物であることもわかります。特許の価値を決めるのは“他の特許と比較した分析”ですが、市場価値を決めるのは“顧客”そして“様々な市場環境”です。当然、市場価値が無いものは事業化できません。

しかしながら、今回の事例でも、製作費を安く抑えるための製造パートナーを見つけて投資額を抑える、もっと市場規模が大きいマーケットやビジネスモデルを検討する、あるいは元々の技術をベースに大幅にコストを削減できる発展的な技術を開発するなどによって、起業の可能性が見えてくる場合があります。

 

研究成果をベースにした起業には困難がたくさんありますが、それは逆に言えば競合優位性の確立にもつながると言えます。ノーベル賞受賞者を多数出している日本の科学力を活かせば、世の中に大きなイノベーションをもたらす起業ができると信じています。

<コンシェルジュ 熊谷孝幸>

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