60歳定年後、Uターン起業を果たしコーチングの普及に奔走

 

定年後60歳でUターン起業を達成。関西電力勤務時代に出会ったコーチングの資格を生かして人材教育の事業を推進。

 

足立 博俊氏 プロフィール
1967年関西電力入社。京都給電所長、大阪南給電所長、北豊中制御所長、関電エネルギーソリューション大阪北事業所長などを歴任。マネージャー職に携わるなか、20年以上、話し方教室に学ぶ。2008年定年退職とともに鳥取県米子市で「あだち人材育成研究所」設立。詳細はこちら


社内研修で知ったコーチングに衝撃を受けプログラムを受講

――起業のきっかけになった出来事はありますか?

起業を考えるようになったのは57歳の頃で、実際に起業したのは定年した60歳のときです。
勤務していた関西電力での管理職経験も長くなり、「このまま勤めて、60歳以降は関連会社へ」というイメージを抱いていました。しかし、会社で早期退職制度の話が出るようになったあたりから「このまま定年を迎えていいのか」と、思い描く将来像に変化が表れ始めました。

そんな頃に社内研修で知ったのが、今の私の仕事を支える「コーチング」というコミュケーションスキルです。すばらしいものに出会ったときの「ドキッ」とするような衝撃を受け、マネージャー職として多くの従業員を管理してきた私に大きな影響を与えました。
話し方教室に通うなど、もともと人間関係の潤滑油であるコミュニケーションには興味がありましたが、「社員の能力や可能性を引き出し育成する」という内容に感銘を受けたそのときのことは、今でも忘れられません。

もっと本格的に取り組んでみたいと思い、CTP(コーチ・トレーニング・プログラム)を3年間受講しながら、学び得たことを部下に実践してみると自分が想像する以上の手応えを感じました。数年間で業績がアップし、社内評価も上がるなど、コーチングの効果が結果として表れました。また、職場に意欲と活気が生まれたのは、まさしくコーチングによる成果だと確信することもできました。成長していく部下の様子は私にとって大きな喜びで、私がコーチングを勉強するためのモチベーションになりました。そして「定年後はコーチングのスキルを生かし、人材育成の分野で起業したい」と考えるようになりました。


地元山陰から大阪の経営コンサルタントに通い、相談しながら軌道に載せる

――Uターンしての起業を選んだ理由、また起業にあたっての不安はありましたか?

定年後も大阪にとどまるか、地元米子に帰るか迷った時期もありましたが「山陰にコーチングを普及し、故郷の役に立てれば」という思いが強くなりUターン起業を決めました。

新しいことに挑戦することへの期待感と、不安を抱えてのスタートでした。約40年ぶりの地元は、人脈が「まったく」と言っていいほどない状態でした。しかも人材育成講師の需要が高い大阪と違い、「コーチングを使った研修を地元の企業に受け入れてもらえるだろうか?」という戸惑いもありました。とはいえ「決めた以上はやるしかない!」の精神で、身につけてきた経験を軸にビジネスのビジョンを練ったり、自分のコーチ力を磨くことに努めました。

帰郷後も大阪の創業塾へ通い、起業について経営コンサルタントにいろいろと相談しました。コーチングコーチのビジネスを軌道に乗せるためには何が必要かを模索し、ひとつひとつクリアにしていく作業を仕事と並行して続けました。会社員時代とはまた違った経験をしたことは、私の力になったと思います。


研修では資格と自分の経験値、積み重ねた年齢による説得力が強み

――資格を保有している強みを実感することはありますか?

私は生涯学習開発財団の認定マスターコーチ資格をはじめ、2014年にはコーチングの国際資格、国際コーチ連盟プロフェッショナル認定コーチを取得しました。資格を取るには所定のプログラムを履修し、750時間以上のコーチ経験を積むなど要件を満たす必要があります。試験では、クライアントとの信頼関係のあり方やコーチに必要な技術が問われます。これら、人材育成や組織のマネジメントに有用なコーチングの資格を持っていることは、起業家としての自信につながっています。

企業で行うマネジメント研修では習得したコーチングのスキルを用いるほか、関西電力で管理職をしていたときに現場で得た知識などを交えながら進めます。スキルや知識のほか、年齢を重ねているからこその説得力も自分の強みだと思います。


メディアに取り上げられることで認知度と信頼性が上がり、仕事量が増える

――起業してからビジネスは順調でしたか?

起業した頃は、コーチングの認知度の低さに苦労しました。また地元にはほとんど人脈がなかったので、知らない人の中に入っていくことも大変でした。しかし、地元紙などにマスターコーチや国際資格取得のニュースが掲載されたり、マスターコーチ協会(山陰支部)の活動やコーチング講座(山陰中央新報文化センター)の話題などがマスメディアに多く取り上げられたり。多くの人の目に触れる機会をいただいたことで、認知度が上がったと実感しています。
また、商工会、産業振興財団、NHK文化センターなど、公の場で研修実績を積めたことで、比較的早くビジネスとして形になったように思います。

退職後は自宅に事務所を構えています。通勤もないので会社に勤めていた頃に比べ、のんびりした毎日を送っているように見えるかもしれません。でも企業さんに出向くことが多く、鳥取県内を中心に山陰地方の企業、自治体、病院、各種団体でコーチングやプレゼンテーションの研修を行う多忙な日々を送っています。
年に数回は大阪に呼んでいただいたり、年間300本以上の仕事をこなしています。なつかしい関西電力での研修も実現しました。
今の仕事量にも満足していて、とても充実したセカンドライフを送れていると思います。


コーチングを通じて企業の業績アップをサポートし地域の活性化に貢献したい

――今後の目標をお聞かせください

コーチングで一人ひとりの成長と自己実現、企業の拡大や発展のサポートをしていますが、日々の仕事を通じて私も多くのことを学んでいます。私の研修を受けた方が、より良い成果を上げたときは「ここまでがんばってきてよかった」と心の底からうれしくなります。自分の成長を実感することもできるので、励みにもなります。

起業してから約10年、企業や各種団体で研修を行うなど山陰にコーチングを普及する活動を行ってきました。
さらなる飛躍を目指して、2018年の春にコーチングスクールも開講しました。優秀なプロのコーチ、企業内において活躍できるようなコーチをどんどん育成していきたいと考えています。

なお、一人でやっているため自分の体が資本です。車移動が多いので運動不足にならないように健康に留意しながら今後もコーチングを広め、地元企業の業績アップ、ひいては地域の活性化に貢献したいと思います。


第三者からのアドバイスが大切。定年後の働き方に具体性を

――起業を目指す方に向けてメッセージをお願いします

起業するにあたって、自分が提供する商品やサービスの質を高めるために必要な知識や技術を身につけたり、資格を取ったり、前もって準備をしておくことは大切です。しっかりとした経営理念を持って、今後の「自分のあるべき姿」を明確に描いておくことも忘れないでください。また、試行錯誤しながら戦略を立て、長期的な視点でビジネスを考えることも必要ではないでしょうか。

50代、60代で起業することに迷いがある方、手探り状態が続いている方は、個人の持つ能力や可能性を引き出すコーチングコーチや、事業計画・経営戦略などについて知見のある経営コンサルタントに相談してみるのもおすすめです。第三者からアドバイスを受けることで、定年後の働き方や生き方に具体性が出てくると思います。私自身、今でもコーチを付けています。

50代、60代になっても、働き方の選択肢はたくさんあります。「培ってきた知識や技術を生かして働きたい」といった思いを胸の内に秘めている方は多いでしょう。起業を目標にするのであれば、これから何とどう関わり、どのように過ごしていくのかを考え、工夫や努力を惜しまないでください。いきいきと活躍するお仲間が増えることを願っています。

【転載元】プロ50+

https://pro50plus.mbp-japan.com/

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