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【イベントレポート】次世代の起業家を目指す学生たちがICTを駆使したビジネスプランで激戦 -Startup Stage 関東学生起業家コンテスト

2017年12月18日、学生限定のビジネスコンテスト「Startup Stage 関東学生ビジネスコンテスト」が開催されました。

コンテストのテーマは「ICT(情報通信技術)を活用したビジネスプラン」です。関東に所在する高校、高専、大学、大学院に在籍している学生であれば、起業経験を問わず応募でき、優れたビジネスプランには、総務省・NICT(情報通信研究機構)が実施する「起業家甲子園」全国大会への挑戦権が獲得できるNICT賞や、協賛各社からのさまざまな賞が授与されます。

12月18日のコンテスト本番では、書類審査を通過し、12月初旬に行われたワークショップに参加した6チームが、それぞれにブラッシュアップしたビジネスプランのピッチ(プレゼンテーション)を行いました。

本番で各チームに与えられた発表時間は各7分。4名の審査員によって行われる審査では、ビジネスプランとしての完成度はもちろんのこと、アイデアの意外性、学生ならではの視点、発表者の熱意などさまざまなポイントがチェックされます。審査員は、次の方々です。

・勝屋久氏(NICT ICT Mentor Platform メンター Team KATSUYA LOVEコネクター/画家)
・木下京子氏(Startup Hub Tokyo 起業コンシェルジュ)
・道祖土直美氏(総務省 関東総合通信局 情報通信部 情報通信連携推進課 課長)
・菱田光洋氏(情報通信研究機構デプロイメント推進部長 部門長)
(※50音順)

審査員を代表して、総務省 関東総合通信局の道祖土直美氏は「各チームのみなさんは、昨夜も遅くまで準備をされたと伺っています。それを評価することに審査員として責任を感じるとともに、どんな発表を見られるのかとても楽しみにしています」と開会のあいさつを行いました。

「身近な課題」から「社会問題」の解決までバラエティに富んだ6つのプラン

続いて各チームによるピッチタイムです。内容を発表順にダイジェストで紹介していきます。

・T-Each

神奈川県立光陵高等学校2年の石井達也氏、加藤無々氏によるチーム「KST」のピッチは、「教え合い」の場を作ることで、学習の効率を高めるプラットフォーム「T-Each」です。

「われわれ学生は、定期試験に向けて勉強をするが、試験後には学んだことの大半を忘れてしまう。より効率的に勉強ができる方法はないか考えた」というのが、T-Eachを発想したきっかけだったそうです。「より効率的な勉強」のために彼らが着目したのが、「人に教える」ことによる平均学習定着率の向上です。

「自分で学ぶだけでなく、ほかの人に教えることで、学習定着率が向上し、一度学んだことを長く記憶しておけるようになります。この『教える』ことの効果に注目し、世の中に教え合いの場を広げていくのが、われわれの提案する『T-Each』です」

T-Eachは、利用者が互いに勉強を教え合うリアルな場としての「TERAKOYA」と呼ばれるシェアスペースと、TERAKOYAの利用や学習状況の管理、ネット上での教え合いを促進するスマートフォンアプリ「active channel」から構成されます。

TERAKOYAは、街の中に実在するシェアスペースとして運営されますが、KSTでは閉店してしまった店舗が多く存在する「シャッター商店街」の活用などを想定しており、利用料金についても「2.5時間あたり300円」という具体的な金額を提案しました。

KSTは「高校生が勉強会などを開きたいと思っても適当な場所がなく、ファーストフード店などもすぐに追い出されてしまいます。そうした時に学生でも利用しやすいスペースが街中にあると便利なのではないかと考えました」と、このプランが自分たちの身近なニーズから生まれたものであることをアピールしました。

・Smart Judge ~スマホで簡単球技審判システム~

東京都立産業技術高等専門学校品川キャンパスチームは、スマートフォンを利用した球技審判システム「Smart Judge」の発表を行いました。

Smart Judgeでは、卓球などの球技を行う際に、コートをスマートフォンで動画撮影することで、ボールの軌道を追跡し、ラインを越えたかどうかを自動的に検出する審判システムです。

「球技をやりたくても、人数が少ない場合にはプレイヤーが競技をしながら審判役も兼ねなければならなくなり、競技に集中できません。また、人間が審判を行う場合、誤審が避けられないという限界があります。Smart Judgeでは、コートのそばにスマホを設置するだけで、画像認識を利用した自動審判が可能です。現状では、卓球に対応していますが、さまざまなネットスポーツ、球技への応用が可能だと考えています」

さらに、Smart Judgeではユーザーによって撮影された競技中の動画をサーバに収集し、機械学習を行うことで、その結果をスポーツ指導に役立てる「コーチシステム」の展開を視野に入れています。「球技審判システム」は広く無料で利用してもらう一方で、収集したデータを利用した「コーチシステム」を、個人や部活動などの団体に有料で提供することによって、収益を上げることを目指します。

スポーツの技術向上のために、ICTを活用した科学的なアプローチを行う「スポーツサイエンス」は、既にプロスポーツの世界では広く行われています。しかし、そのための機材やソフトウェアは大規模かつ高価なもので、個人や、学校の部活動などで気軽に利用できるものではありません。Smart Judgeではコーチシステムの利用料金を個人で980円/月、団体で1万5000円/月程度と、プロ向けのものよりも安価に設定することで「より多くの人に、技術を向上しながらスポーツを楽しんでもらえるサービスにしたい」としています。

・ストレスチェッカー

現在、日本の社会全体で取り組むべき課題として、企業における「労働環境の改善」が挙げられます。政府も、経営者に対して労働者の「ストレスチェック」を義務づけ、労働者の精神面の健康状態を向上させるよう働きかけています。

横浜国立大学のチームによるピッチは、この「ストレスチェック」に着目し、ストレスをチェックするためのデバイス、ストレス管理アプリ、ストレスマネジメントのコンサルティングを、企業に対してセットで提供するサービスです。

福田研究室が開発した「ストレスチェッカー」は、人が口にくわえることで「唾液」に含まれる成分を検出できる測定デバイスとなっています。

「人はストレスによる刺激を受けると、唾液中のアミラーゼやコルチゾールといった物質の濃度が上昇します。これらの成分を測定することで、簡単かつ迅速に、ストレス度の測定と数値化が可能です」

このデバイスのメリットは、複数のストレスマーカーを検出できることで、一般的に行われている「質問票」による自己申告でのストレスチェックや、表情認識などと比較した場合に、より客観的で標準化された結果を数値として算出できる点にあるといいます。

従業員のストレス値に関するデータは、ビッグデータとして契約企業にフィードバックされます。例えば人事部門では、データに基づいて「ストレスが高い部署の判別」や「ストレス原因の特定」などを行い、労働環境の改善に役立てることができます。また、契約施設などを通じた、ストレスケアに関するコンサルティングなども、プランの一部として提供されます。

個々の従業員は、定期的なチェックの結果を「ストレス管理アプリ」を通じて確認することが可能です。アプリでは、個人のストレス値によって、ストレスが軽度の人には娯楽施設、重度の場合にはカウンセリング施設や医療機関などのレコメンドを行えます。

ビジネスモデルとしては、企業への「ストレスチェックセット」の提供(デバイスのリース料、システム利用料、コンサルティング料含む)による料金と、ストレス管理アプリに対する広告配信料などを収入源として見込んでいます。

「人は生きていく中で、ストレスを完全にゼロにすることはできません。だからこそ、ストレスをうまく管理していくことが重要です。われわれの提案するシステムは、ストレス社会を快適に過ごすための仕組みとして、過去に例のない画期的なものだと自負しています」

・YAGURA(やぐら)

東京大学、慶應義塾大学、早稲田大学の混成メンバーによる「YAGURA」は「飲み会時の2次会の店選び」を簡単にすることに徹底的に特化したスマートフォンアプリと、店舗用の集客システムから成るプランです。

YAGURAが解決する課題は「2次会の店選びに伴うあらゆる『痛み』」(発表者の井手隆之介氏)だといいます。

「幹事にとって、2次会の店を探すのはとても負担の大きな作業です。今いる場所をキーワードにスマホで検索したとしても、検索結果には既に閉店時間が過ぎた店が混ざっているかもしれません。また、営業中でも全員が入れる混み具合かどうかまでは分からない。結局、お店に直接電話をして状況を聞くことになります。大丈夫なら地図を頼りにお店を目指しますが、迷わないとも限りません。2次会の店を決めて、たどり着くまでに何十分もかかっていては、1次会の酔いも醒めてしまいます」

「YAGURA for AfterParty」と呼ばれるスマートフォンアプリは、「検索しない店選び」によって、こうした幹事の手間を軽減してくれます。アプリを立ち上げたら、幹事がやるべきことは「参加人数の選択」だけ。位置情報と店舗情報、さらに店舗側が設定している混雑状況の情報をもとに「近くにあって全員が入れるお店」だけをフィルタリングして表示してくれます。起動から結果表示までは数秒です。さらに、お店が決まったら、スマホのカメラを通して周囲を見渡すことで、アプリがお店の場所をAR(Augmented Reality)の形式で示してくれます。

「なぜARなのかと思うかもしれませんが、現在地から近い場所に誘導したいのであれば、地図アプリで上空からの位置を見せるよりも、ARを使って、その場からの方角を示したほうが直感的で、迷うことがありません」

ビジネスモデルとしては、YAGURAに登録する店舗からの広告料による収益を想定しており、混雑状況を必要に応じて更新できる店舗向けユーザーインターフェースなども準備する計画です。

「YAGURAは、幹事の負担だった2次会会場探しの手間と時間を削減できるアプリであり、飲食店にとっては集客率を上げるための呼び込みツールです。YAGURAによって、1人でも多くの人がお店探しに悩まされず、飲み会を心から楽しめるようにしたいと思っています」

・傘ほーだい

生活の中でそれほど頻繁に使わないものを個人で所有せず、多くの人で共有する「シェアリング」という考え方が、現在注目されています。津田塾大学の深滝紗希氏をはじめとする3名が共同開発を進める「傘ほーだい」は「雨傘」のシェアリングサービスです。

朝、出かける前に空のようすや天気予報を見ながら「今日は傘を持っていくべきか」と悩むことは結構多いのではないでしょうか。運悪く、傘を持っていないときに急な雨に降られたら、コンビニや駅の売店で安いビニール傘を買い、場合によっては帰りの電車の中に忘れてきてしまうかもしれません。

「傘ほーだい」では、登録メンバーでシェアできる傘をストックした「傘ステーション」を街中に設置することで「人が傘を持たない時代を作る」ことを目指しているといいます。

「日本は傘の消費大国です。日本で1年間に消費される傘の本数は約1億3000万本。国民1人あたり1年に1本は傘を買っている計算になります。また、東京で落とし物として届けられる傘の本数は年間で約39万本あり、そのほとんどが処分されています。1本1000円だとすれば、東京都だけで年間4億円近い無駄が出ていることになります。こうした無駄がなぜ出るのかと言えば、私たちが必要のないときも傘を持ち歩いているからではないでしょうか。傘ほーだいでは、不便な傘の持ち歩きをなくすことで、利便性の向上と、落とし物を減らすことによる無駄の削減を目指します」

傘ほーだいを利用したいユーザーは、あらかじめアプリを通じてメンバー登録をしておきます。雨が降ってきたら、アプリを立ち上げると付近にある「傘ステーション」の場所が示され、アプリに表示されるQRコードをステーションの読み取り機にかざすことで、傘を借りることができます。利用後は、再び手近なステーションで返却処理を行える仕組みです。

こうした「傘」のシェアリングサービスは、既に日本や中国において類似のものがいくつかスタートしていますが、十分な普及には至っていません。傘ほーだいでは、その理由を「利用料金の高さ」と「傘の管理システムの不備」にあると分析しており、その両方を解決することで成功が見込めると考えています。

なお、傘ほーだいでは、利用料金について、3日以内の貸し出しであれば「無料」。以降は、1日延滞につき300円の料金を徴収(上限あり)する通常プランと、年間を通じて常に1本の傘を借りておける権利を3600円/年で付与するプレミアプランを想定しています。こうした料金体系とすることで、返却率の向上を促せるとしています。

また、ビジネスモデルについては、ユーザーに対する有料プランの提供のほか、貸出と返却時に利用するアプリ内での広告表示、傘ステーションや傘そのものへの広告の掲出、傘を利用する人の動態ビッグデータを利用したマーケティング事業など、幅広い展開が考えられるとしています。

・SAgri(さぐり)

横浜国立大学に在籍しながら、教育をはじめとした宇宙関連ビジネスを展開する企業の経営者も行っている坪井俊輔氏は、人工衛星で取得できるオープン画像データを、発展途上国における貧困問題の解決に活用するプロジェクト「SAgri(さぐり)」を発表しました。

坪井氏は、いくつかの発展途上国を訪れる中で、政府などが援助している資金が、そこで暮らす困窮している人々へ効率良く行き渡っておらず、彼らの生活の豊かさにうまく結びついていないことに問題意識を持ったといいます。

「ヒアリングなどを通じて、発展途上国で農業を営む人々が自分たちの暮らしを豊かにしていけないことには、いくつかの原因があると考えるようになりました。ひとつは『経験やノウハウの蓄積・継承不足』、もうひとつが『仲介業者が多いために得られる利益が少ない』ことです。私は、これらの問題を人工衛星が取得するデータとインターネットを通じて改善できるのではないかと考えています」

現在、地球の上空には各国、企業が打ち上げた多くの人工衛星が周回しています。衛星が取得した地上や気象に関するデータの一部は、オープンデータとして公開され、無償で利用できます。SAgriでは、この衛星が取得するオープンな気象データを、途上国における農業の効率化、品質改善に生かすことを考えています。

「近年、多くの低高度衛星が取得するさまざまなデータを、無償で利用できるようにする流れが加速しています。こうした衛星データは更新頻度も高く、画像の精細度も上がっており、そこから土壌の肥沃度やタンパク質量、作物に適した収穫時期などを推定することもできるようになっています。衛星データによる農作物情報の可視化が可能になりつつあるのです」

農業の効率化といった観点では、ドローンのような新しいデバイスの活用も注目されていますが、ドローンの利用には大規模なハードウェアの導入や運用面での敷居が高いといった問題があります。その点、衛星データは狭い範囲で取得できるデータの精細さについてはドローンなどに譲るものの、ソフトウェアベースで活用できるため導入や運用のコストを押さえつつ、より広い範囲の情報をマクロ的に把握できるという点で使い分けが可能だといいます。

経験やノウハウの不足を衛星データによって補うと同時に、SAgriでは、システムを活用して育てた農作物を、ネットを通じて消費者に直接届ける仕組みを構築することにより、中間マージンを省き、より収益性の高い農業経営を可能にしたいとしています。将来的には、より汎用的な「宇宙データを用いた農業支援サービス」として、発展途上国の農家に対しては無料、先進国の農家に対しては月額2000円程度の利用料と流通手数料(10~15%)を徴収する有償提供とすることで、ビジネスとしての継続性を確保していく計画です。

「超小型衛星の実用化」に賭けた先輩起業家が学生たちに贈るメッセージ

コンテスト出場の6チームによるピッチは、以上で終了しました。審査員が各賞を決定するのと並行して、会場ではアクセルスペース代表取締役である中村友哉氏による特別講演が行われました。

中村氏は、学生のころに関わった「手作り人工衛星プロジェクト」をきっかけとして、従来よりも大幅に小さい人工衛星の開発と実用化を志し、2008年にアクセルスペースを設立しました。2013年にはウェザーニューズと共同で世界初の民間商用超小型衛星「WNISAT-1」の打ち上げに成功。現在は東京中央区日本橋地区にオフィスを構え、40名を越える従業員とともに超小型衛星(マイクロサテライト)の開発、打ち上げ、運用を行っています。

宇宙空間で稼働する人工衛星の開発を、中村氏が最初に手がけたのは東京大学大学院在籍時のことです。1辺が10~数十センチメートル程度の「CubeSat」と呼ばれる超小型衛星を研究室のメンバーで組み上げ、2003年6月に打ち上げを成功させました。CubeSatを構成する部品は民生品が中心であり、中には秋葉原や雑貨店などで売られている電子部品なども含まれていたため、当時の宇宙の専門家からはその成功を疑問視する声も少なくなかったと言います。

「CubeSatを作っていたころ、宇宙開発に携わる人の中には『あんな電気街で売っているような部品で組み上げた衛星がまともに動くわけがない。大学生のカネがかかるおもちゃだ』と批判する人もいました。ただ、2003年の打ち上げが成功し、実際に宇宙空間で稼働できたことで『これで世界の宇宙開発が大きく動く』と論調は変わっていきました」

この成功体験から生まれた「超小型衛星の実用化を目指したい」という強い思いが、アクセルスペースの起業につながったといいます。

超小型衛星のメリットは、開発コストの圧倒的な安さです。従来の衛星が開発に5年ほどかかるのと比較して、超小型衛星の場合は1~2年程度にまで開発期間を短縮できます。開発期間の短かさは、コスト削減に直結し、従来であれば数百億円掛かった衛星の開発費用も、その100分の1である数億円程度にまで減らすことができます。

「あまり安く感じられないかもしれませんが、この価格は、企業が事業用のヘリコプターを購入する金額と大きく変わらないのです。ヘリを買うのと同じくらいの値段で、自社のために使える人工衛星を所有できるのは画期的だと思いませんか」

民間企業だけでなく国立の研究機関である「JAXA」も超小型人工衛星が持つ可能性に注目しており、その開発をアクセルスペースに委託することを決めています。これまで、国の人工衛星の開発は大手企業の独擅場であり、ベンチャーでの開発受託は初の快挙になります。

アクセルスペースでは、2015年11月にベンチャーキャピタルなどから19億円の資金調達を行い、自社用の衛星「GRUS」の開発に着手しています。同社では現在、依頼を受けての衛星開発と並行して、この自社衛星によって取得した地球観測データの販売を、新たな事業の柱としていくことを目指しています。

「2018年には3機のGRUSを打ち上げ、2022年までには新たな衛星データインフラを形にしたいと考えています。最終的には合計50機の衛星を通じて、地球のあらゆる場所を観測したデータを毎日更新できるようにする。これを実現することで、さまざまな産業が持つニーズに対し、衛星データに時間軸という付加価値をつけて提供していきたいと思っています」

中村氏は、起業を目指す学生に向け、いくつかのアドバイスを述べて講演を締めくくりました。「途中で投げ出さずに続けていくためにも、人生を賭けるほど熱中できるものを見つけること」「事業のコアとなる自分自身の強みを特定すること」「信頼できる仲間を見つけること」といった心構えに加えて「学生である今から、起業という選択肢も念頭に活動することが重要」だと強調しました。

「私が大学生だった当時は、アントレプレナー教育プログラムも今のように充実しておらず、何も知らない状態で起業してしまいました。こうしたプログラムを通じて、学生のころから、実際に起業した人の話を聞き、いわば『起業の疑似体験』を積んでおくことは、後に自分自身が起業することになった場合に大きなプラスになると思います。また実際にインターンとしてベンチャーで働いてみるのも良いと思います。中で働くことで、自分が持っているベンチャーのイメージとの違いなども見えてくると思います。結果的に自分で起業しなかったとしても、責任範囲が広いベンチャーで鍛えられた経験はキャリア形成にとってプラスになるはずです」

最優秀賞は「傘ほーだい」-2つの企業賞とNICT賞も合わせて受賞の快挙

特別講演の終了後に、各賞の発表と授賞式が行われました。協賛企業賞を受賞したのは以下の各チームです。

・IBM BlueHub賞(提供:日本アイ・ビー・エム)…SAgri
・NTTデータ賞(提供:NTTデータ)…傘ほーだい
・マイクロソフト賞(提供:日本マイクロソフト)…ストレスチェッカー
・YJキャピタル賞(提供:YJキャピタル)…YAGURA、傘ほーだい(2チーム)

そして、Startup Stage最優秀賞を受賞したのは「傘ほーだい」となりました。傘ほーだいは、2つの協賛企業賞、さらに総務省・NICTが実施する「起業家甲子園」への挑戦権を得られる「NICT賞」も合わせて受賞する快挙を達成しました。

審査員を代表して、NICT ICT Mentor Platformメンターの勝屋氏は「受賞したチームも、残念ながら賞はとれなかったチームも、すべてのチームのプランが魅力的で、素晴らしいものだった」と述べました。

また、6チームそれぞれに対する講評の中で、傘ほーだいについては「とても完成度が高いプレゼンテーションでした。ただ、個人的な希望としては、プレゼンの中に、より発表者のパッションや好みのようなものが含まれていれば良かったと思います。ビジネスモデルも洗練されていましたが、私としては、今後、論理的思考や効率性だけで組み立てられたビジネスは伸びていかないと考えています。ビジネスを作る側が持っている、好きなものに対する熱意やエネルギーのようなものが散りばめられたサービスに、人が集まる時代になるでしょう。そうしたことを念頭において、さらに魅力的なプランで起業家甲子園に挑んでください」と激励しました。

「起業家甲子園」の全国大会は、2018年3月に実施されます。審査員を務めたNICTの菱田氏は閉会の言葉として「関東地区の代表となった傘ほーだいチームには、ぜひ全国の頂点を目指してがんばってほしいと思います。近年、製造業での偽装問題などで『ものづくりニッポン』のブランドが揺らいでいる状況があると思いますが、われわれはICTこそが、これからの日本のものづくり、そして社会全体を良い方向へと向かわせるカギであり、今回のコンテストに参加してくれたみなさんが持っているような『何かを実現したい』という熱い思いが、それを実際に動かしていく原動力になると思っています」と述べ、コンテストを締めくくりました。

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